筆のQ&A

筆どうやってできいているの?


どんな筆を選んだらいいの?

筆の特徴を「穂の長さ」と「毛の硬さ」の観点でみると、穂の長い「長峰」は、細く深い線が引けるので、理知的な感じになり、太く浅い線が書け、穂の短い「短峰」は温かみが出ます。
穂の硬い「剛毛」は墨を含みにくく水切れが早いため、淡白で力強い表現向きといえます。逆に柔らかい「軟毛」は墨を良く含み、粘りがあるのできめ細かい描写に優れています。硬い毛と柔らかい毛を混毛した「兼毛」は行書等の連綿に適しています。

※短峰・・・軸の径に対して穂の長さが約3倍
※中峰・・・軸の径に対して穂の長さが約4倍
※長峰・・・軸の径に対して穂の長さが約5倍


穂の原料にはどんなものが使われるの?

穂に使われる毛の種類は動物毛が一般的ですが、植物繊維やナイロンなども使用されます。一種類だけで使われる他、それぞれの特性を生かし組み合わせて使われることもあります。
以下、よく使われる毛の特性をご紹介します。

イタチ毛
1本1本の毛が短いので、主として小筆用。毛の弾力が強く、墨をよく含むので、高級品に使用されています。国 内産のほか、中国・朝鮮からも輸入されています。特にオスのモノが高級品。 イタチ毛
馬毛
胴、たてがみ、尾などほぼ全身の毛が用いられ、いずれも耐久性に優れています。尻尾の部分は天尾(あまお)と呼び大筆に、胴毛は上毛や小筆の芯に用いられます。 馬毛
羊毛(中国山羊)
ウールをとるための綿羊ではなく、揚子江沿岸に生息する山羊の毛を使います。毛先に柔軟性があり、墨をよく含むのに加え、耐久性にも優れています。そのため、高級品から普及品まで幅広く使われます。「細光峰(さいこうほう)」と呼ばれるものが最高級品です。 羊毛
狸毛
根元が細く、先になるほど太く弾力に富みます。白毛と黒毛の2種類があるほか、採取する部分により10種類以上に分類されます。 狸毛
鹿毛 墨を良く含み、弾力性に富みますが、消耗の早いのが難点。中国産のものが良質で、国内産は殆ど筆の腰用か刷毛用。冬の間脇下から下腹部へかけて出る白い毛は『白真(しらしん)』と呼ばれ、珍重されています。
猫毛 柔らかく粘りがあり、毛足が短いので、面相筆や極細筆に用いられます。殆んど日本産の白い猫で、背筋からとれる毛だけが使用されます。

筆をおろす目安は?

筆の穂は「ふ糊」で固められていますので、手でほぐすか、ぬるま湯等で糊を取り除きます。一般的に太筆は、穂先から約2/3(または全体)、細筆は1/3を指先でもみほぐし、墨または水で穂先をならします。しばらくすると穂先が柔らかくなります。


使用後の筆は、どの様にお手入れすればいいの?
墨をつけたままにせず必ず水洗いし、その後穂先を整えるようにします。細筆の場合は根元まで糊がおりないように半紙などに水をたらし、その上で何回か丁寧に墨を落とします。さばき筆の場合はそのままぬるま湯(または中性洗剤を希釈させたもの)で洗い、筆の根元に墨がたまらないようにします。墨の取れにくいものについては、先が突かない様にペットボトル容器などに吊るして入れ、約一週間水につけておきます。水分を乾燥させ、風通しのよいところに保管します。また、購入時についている「キャップ」は保管時には使用せず、処分します。(通気が妨げられ、毛腐り・毛抜けの原因となります) お手入れ


筆の保存法は?

筆を長く保存したいときに、一番気をつけなければならないことは虫食いです。防腐剤を入れた桐箱に入れます。ほこりが立たず風通しのよい場所に保管し、カビが沸くのを防ぎます。


筆の号数は?

当社の規格は以下の通りです。

号数 軸の径 用途
1号 5分5厘 約1.65cm 条巾用
2号 5分 約1.5cm 条巾用
3号 4分2厘 約1.26cm 半紙4~6字用
4号 3分6厘 約1.08cm 半紙6~8字用
5号 3分2厘 約0.96cm 半紙8~10字用
6号 2分8厘 約0.84cm 中字用
7号 2分6厘 約0.78cm 名前書き用
8号 2分4厘 約0.72cm 名前書き用
9号 2分2厘 約0.66cm 名前書き用
10号 2分 約0.60cm 線描き用


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